ミックスダウン時の音量・音質バランスを簡単に整える小ネタ・TIPS【マルチバンドコンプ編】


音伽-Otogi SoundWorks- です。

今回はタイトルの通り、

【ミックスダウン時の音量・音質バランスを簡単に整える】

簡単な方法をご紹介させて頂きたいと思います。

マルチバンドで整えることによって、音質の向上、最終的に音圧アップに繋がります。

ミックス自体、千差万別でそれぞれ内容が違ってくると思いますが、

個人的には今回の方法を用いてサウンドのブラッシュアップに繋がったと感じているので、

参考程度にお目通し頂ければ幸いです。

1. 音量調整(gain staging)

・フェーダーでの各音量バランスの調整

・インサートエフェクトでの各楽器、音の作り込み(ダイナミクス処理、リバーブ、その他FXなど)

この場面では上記の作業を繰り返し、全体のバランスを測っていきます。

不正解はないので、自分の好みに忠実にして大丈夫です。

比較的、基本バランスは下記の通りになると思います。

人によっては、トラックのフェーダーは基本動かさず、コンプで調整

グループトラックや、ステムチャンネルに楽器を種類別にまとめて

調整するという方もいらっしゃいますね。

今回はマルチバンドコンプを使ったミックスの手法になるので、

楽器毎の音作りの詳細内容はまた別の記事にてご紹介させて頂きます。

全体のおおまかなバランス調整が終わった前提で、

今回の本題である次の段階に行きます。


2. マルチバンドコンプを使用した全体の音量と音質の調整・トータルコンプ


マルチバンドコンプレッサーとは、

周波数帯域毎に細かいダイナミクス処理・コンプレッションを施す事が可能なプラグインです。

(機種により最大で4バンド~6バンド個別に調整可能)

お使いのDAWソフトにもほぼほぼ間違いなく入っていると思います。

有名なものは比較的お値段も高価になりますが、

フリーで配布しているプラグインも多数あるので、

気になった方はチェックしてみるのもオススメです。

僕が主に使用しているのは、FabFilter社のPro-MBという製品になります。


今回はコチラを使用した、音量バランスの調整手順をお伝えします。

お使いの機種が違っても操作自体に差異はないと思いますので、

照らし合わせながらの設定も問題ないと思います。


1. マスタートラックへのインサート、入出力の音量・GAIN設定


マスターチャンネル(ステレオアウト)にお使いのマルチバンドコンプを挿します。

ミックスの原則として-0dbを越えない値に音量を調整します。

全体で-1dbから-3dbに収めるのが理想だと思いますが、

慣れない頃はこれが中々難しかったりします。

画像内の矢印の部分は入力・出力のGAINコントロールになります。

ミックスに不慣れだったり、どうしてもいい感じの音量にならない場合

ここで全体の音量を調節してしまいます。

大きすぎたらインを下げ

小さすぎたらインを上げます

海外ミュージシャンの方がライブストリームでこの手法を実践しており、

力技だ・・・と思いましたが、0dbを越えなきゃいいわけなのですね。

ですがこれだけでは音質の調整には至らないので次の段階へ


2.各周波数帯域の幅の設定


この段階では、

各周波数帯域の幅を設定していきます。


【各周波数帯域の性質・音域の特性】を解説した記事はこちらから


上記の記事に帯域の詳細を記述したので、それを踏まえて幅を設定します。

参考までにIzotopeのOZONEシリーズの4バンドコンプのデフォルト設定は下記の通りです。

1.~140hz 低音

2. 140hz~2khz 中音域

3. 2khz~10khz 高音域

4. 10khz~ 超高音域

となっております。


4バンドでも十分ですが、6バンド対応になると更に幅が増え、細かい設定も可能になります。

下の画像はPro-MBの帯域設定の一例です

こちらは6バンド対応になるので、より細かい設定が可能です。

画像の帯域設定は以下

1バンド ~100hz

2バンド 100hz~300hz

3バンド 300hz~1khz

4バンド 1khz~3khz

5バンド 3khz~10khz

6バンド 10khz~

となっております。

楽曲により帯域は微調整しますが、このような感じになります。

中音域の温かみを損なわないよう、耳につきやすい高域のコンプ幅を広く設定しています。

ここは好みになってくると思います。

ボーカルやメイン楽器がオケに埋もれて感じたり、低音が全体的にぼやけて居る場合、

2バンド目の帯域を気持ち強めにコンプレッションするとすっきりします。

あくまでミックスバランスの調整が目的なので、

コンプは掛け過ぎず、GAINは上げ下げし過ぎずで行います。


スレッショルド/Threshold (コンプが作動する音量値)

全体的に-20.00db前後に設定して、プラグイン上のマスターでコントロールします。

レシオ/ratio (音の圧縮量・コンプ感)

バランスを整える前提でそこまで高く設定せず、2:0~5:0前後

アタック・リリース (コンプが作動するまでの時間と、戻る時間)

これは好みによったり、楽曲の内容によりますが、

僕の場合はざっくり左の低域からアタックは遅く、

右の高域に近づくにつれてアタックを早めに設定します。

そうする事によって、低音が強調されやすくなり全体のインパクトが上がります。

リリースは全体的に10から20前後にしています。

以上で大体の基本設定は終了です。

下の画像のように、設定に応じてコンプが作動します。



後は波形や音を確認しながら、マスターボリューム、コンプの調整、帯域幅の微調整をします。

何も処理していない原音に比べて、バランスが取れサウンドが引き締まっていると思います。

もちろんトラック毎のブラッシュとフェーダーバランスはとても大切ですが、

なかなか理想には時間が掛かるので、

簡単なミックス方法として覚えておくと便利かもしれないです。

マルチバンドコンプであれば何でも同様の設定にすることが出来ると思うので、

気になった方は是非試してみてください。







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